和泉市の北部地域に広がる信太山丘陵一帯は、旧陸軍や自衛隊の演習場として開発を免れてきた結果、市街地の近くながら貴重な湿原や草地といった多様な自然環境が維持されてきました。
このなかで、信太山丘陵里山自然公園には、貴重な湿地や草地が残され、ヤマトサンショウウオ(絶滅危惧I類:大阪府)をはじめ、多数の稀少な動植物の生息が確認されており、地域のシンボルとして次世代へと継承すべき貴重な自然環境、自然豊かな里山の環境が残されています。本公園は、この地に残された里山の環境を保全し自然と触れ合える公園として、2024年8月に草原が広がる第1期区域がオープンしました。東側エリアも里山公園として整備を進めており、将来は、広大な里山公園としてお楽しみいただけます。
開園面積 | 約2.6ha(第 1 期開園区域) 全体計画面積約 15.6ha |
開 園 日 | 2024 年 8 月 1 日(第 1 期開園区域) |
種 別 | 都市公園(都市林) |
主要施設 | 管理棟、西の大草原、里山ふれあい広場、こもれび林、ツツジの丘、散策園路、駐車場(無料)、トイレ |
「市民の憩いの場」、「自然体験の場」、「環境学習の場」を三本柱とし、豊かな自然の中で「自然とふれあえる公園」の理念のもと、里山の草原や森をみんなで守り育てています。
しかしながら現在の信太山丘陵里山自然公園は、草原環境の多様性の低下、湿原環境の悪化、アカマツ林の松枯れ、照葉人工林の分布と拡大、外来生物の侵入などにより、貴重な動植物の生息が脅かされる状況となっています。
そこで信太山丘陵里山自然公園協議会は、「生物多様性豊かな信太山丘陵固有の里山的二次自然」を目指す自然環境の姿とし、次の3点を保全の方針としています。
信太山丘陵里山自然公園においては、平成22年の自然環境調査で「大阪府レッドリスト2014」に掲載されている貴重種(絶滅危惧種・準絶滅危惧種)の34種が確認されています。
また、これらの希少な自然環境が評価され、「大阪府レッドリスト2014」において『生物多様性ホットスポット』でAランクに選定されています。
市有地には、アカマツ-モチツツジ群集に代表される二次林が約8割を占める一方で、残りの約2割を草原が占め、府内でも貴重な場所となっています。貴重な植物は大半が草原性・湿原性のもので、「貧栄養、弱酸性、かつ湿潤な土壌」という条件の厳しい環境に適応した種が多く含まれます。これらは人の手による周辺環境の維持管理がないと、瞬く間に乾燥した草原に取って代わられ、樹林の拡大に吞み込まれ、やがて枯れ果て失われてしまいます。また植物に限らず、ヤマトサンショウウオ(大阪府絶滅危惧I類)といった湿地に生息する貴重種をはじめ、多くの動物種が息づいています。